#技術書典 4でソフトウェアエンジニアの情報収集に関する書籍を出展した話

本エントリーは、技術書典4で出展した書籍、「ソフトウェアエンジニアの情報収集について」の総評を載せています。

本エントリーの要約

  • 一人で執筆したのですべての工程を完遂するのにやることがそれなりに多かった。詳細は本文を参照のこと。
  • 技術書典に出展するなら執筆、編集以外にも相応の準備が必要。準備をきちんとすればするほど買ってもらえたときの喜びもひとしお。
  • 技術書典運営の方々、本書籍を購入していただいた方々、pyspa方面の方々、売り子として手伝ってくれた友人、そして家族に頭が上がりません。ありがとうございました。

本記事の想定読者

  1. 技術系同人誌、技術書執筆に興味のある方
  2. 技術書典4 サークル参加者
  3. 技術書典4 一般参加者
  4. 技術書典の運営の方
  5. 出版業界の方

出展した書籍について

ソフトウェアエンジニアの情報収集に関する本を執筆しました。技術書典4の私のサークルページについては以下のリンクを参照してください。

https://techbookfest.org/event/tbf04/circle/12850001

現在も電子書籍版をBOOTHにて販売中です。

booth.pm

販売実績(2018-05-03時点)

分類 部数
紙の書籍 150部
電子書籍 84部
合計 234部

準備していた紙の書籍150部をイベント当日の13時台に完売しました。被チェック数が当日までに188ついていたものの、初出展で本当にそこまで売れるのか疑問だったので、完売した時はただただ驚くばかりでした。電子書籍は4/22以降もじわじわ売れ続けていて、4/22時点では28冊だったのがそれから1週間で50冊近く売れました。紙の需要が高いと噂を聞いていましたが、電子書籍もそれなりに需要があることがわかり、 ePub、PDFの準備をしておいて良かったです。

出展までにかかった時間

出展するにあたって、下記の時間がかかりました。計測はnikuyoshi家に数ヶ月前に導入したPlanioというRedmineホスティングサービスで地道に記録をつけていきました。

項目 時間
案出し 約3時間
執筆環境構築 約2時間
執筆、編集 約120時間
当日のレイアウト準備 約3時間

次回同じ規模感の執筆を行う際の参考値となるため、一応記録をつけました。自分がどの程度のボリュームをどの程度で書き上げられるのかを知り、見積もり精度を上げることは重要です。

案出し

「子育てを楽にするスマートホーム」、「家庭で使うチャットボット」等もリストアップしたのですが、2月下旬頃、以下の5点で優先度付けを行って「ソフトウェアに関する情報収集」にテーマを決めました。

  1. 自分が本当に書きたいと思えるもの
  2. 現時点の知識で無理なく執筆できるもの
  3. 世の中に出回っておらず希少性の高いもの
  4. 今の職場で活きるもの
  5. なるべく多くの人に手にとってもらえるもの

1年前からソフトウェアに関する情報収集に関する本が無いと気づいてウズウズしていて、いつか書きたいと思っていたことを体現できて満足しています。情報収集に関するビジネス書を何冊か手にとったことがあるのですが、自分の欲しいものとなんか違うと感じたので書くしかないと思っていました。

執筆環境構築

Re:VIEWで執筆し、Dockerイメージを使ってPDF、ePubを生成していました。vvakameさんのDockerイメージが大活躍で、初期構築から入稿まで快適に使えました。書面のレイアウトはデフォルトのもので十分だったのでカスタマイズを一切しないで使わせていただきました。

また、「とき」、「こと」を漢字からひらがなに開く、といった表記ゆらぎを自動検出するのに何かいいものがないかと思っていたところ、@mhidakaさんからメンションをいただき、prhを導入しました。便利だったので次回執筆する時も使います。

Re:VIEWの設定方法から日光企画に入稿するまでの細かい手順等が「技術書をかこう! ~はじめてのRe:VIEW~」に載っていて大変参考になりました。私のように初参加、初執筆する人にはもってこいの書籍でしたのでオススメしておきます。著者は@mhidakaさん、@vvakameさんといった技術書典運営の方々です。

執筆、編集

自宅や通勤時にPCを開ける状況であればVisual Studio Code、そうでなければiPhoneの標準アプリのメモアプリで執筆していました。原稿の管理はGitLabで、Gitにpushすると自動的にPDFがビルドされるようにCIを組みました。

妻の添削結果を受けて2回ほど大幅に書き換えているため、ページ数の割に時間がかかりすぎてしまいました。大幅に書き直さなくてもいい構成にできたら良かったのですが、数週間に渡って書いていると主張が段々ずれてきてしまったため、次回は書き方を見直して一つの章、節を一気に書き上げるスタイルに変更してズレを少なくしたいですね。また、言いたいことがあるのに語彙力が足りず文章が出てこないことが度々あったので、文章のアウトプットの機会を増やして鍛えます。次回の技術書典5の参加は自分の中で必須です。

参考までに、妻から指摘されて印象に残ったことを以下に列挙します。

  • 立ち読みする際、最初から読む人がほとんどなのでその本の美味しい部分を前に持っていくと読み進められやすい。
    • もともと1章に「日々の情報収集」、2章に「依頼事項を満たすための情報収集」があったのを、より実用的だと感じるものは後者だと思い入れ替えた。
  • 章や節の始まりで、導入の一文を必ず入れる。
    • 章のタイトルや節のタイトルを読んだ後に本文を読み進める際に、論理の飛躍があると読みづらくなるため。
    • 例えば、「検索の効率化」という節のタイトルであれば、「⼿当たり次第に検索結果を上から読んでいくのではなく、検索結果の読み⽅、記事の読み⽅、切り捨て基準を設けて情報収集をしています。」のように、どのように効率化するのか想像できる一文を入れる。
  • 漢字をひらがなに開きすぎない。逆に読みづらくなるので注意。
    • いきづまり → 行き詰まり
    • ぞんだ → 望んだ

上記指摘は書籍のあらゆるところに適用されていますので、お手元にある方は読んでみると良いでしょう。

pyspaの方々にも本書を見ていただき、正式名称を間違えている、対象読者が決まっているならその人向けの説明に変えるべき等様々な指摘をいただきました。時間の関係ですべての指摘を盛り込めたわけではないので、次回の技術書典までにアップデートします。

ちなみに、今年の3月から1ヶ月間ほどフィリピンに出張していたことが大きく影響していて、この工程で進捗が伸びない日々が続いてしまいました。書きたい気持ちはあったのですが、慣れない環境で疲弊して作業が進まず、正直3月は辛かったです。

レイアウト準備

名刺作成、ポスター印刷等の設営に必要なものの準備を行いました。

名刺について、以下の画像の通り、 グラフィックから提供されているテンプレートに則って作成しました。テンプレ通りに作ったので、指摘もなく一発OKでした。

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裏面の全面写真を綺麗に見せたかったので、少し値段が張るミラーマルチFS(ミラーケントFS) 220kgという紙を選択しました。今後を見据えて、写真展に出展した際にも使える名刺となるように作っています。今回のイベントでは浮いた名刺となっちゃったかもしれませんが、個人的に気に入っているのでヨシ。

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名刺を作るにあたって、デザインの参考にしたサイトを以下に共有しておきます。「名刺 テンプレート」、「buisiness card template」等で検索して行き着きました。

www.moo.com

書籍のカバーを作るにあたって、日光企画から提示されているテンプレートにそって作成したので大変な思いをしないで済みました。カバーのデザインは商業出版されている書籍数冊を参考に作成しました。

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ポスターの印刷方法についてですが、PhotoshopでA3サイズを選択してKinko'sで印刷しました。以下の画像のとおり、凝ったことはしていません。

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かんたん後払いのQRコードをポスターに掲示しましたが、運営がQRコードを印刷した紙を配布してくれたおかげで活躍する場面は少なかったです。当日現地に到着するまで印刷した紙があるとは知りませんでした...。

ちなみに書籍カバー、名刺、およびポスターに用いている全ての画像は私自身で撮ったものです。著作権を気にせず使えるのは良いですね。写真が趣味でよかった。

販売方法について

以下のどちらの場合でも対応できるように準備をしておきました。

  • 紙の書籍が売れ残った場合
    • 家に持ち帰れるようにスーツケースを持参した
  • 紙の書籍が完売した場合
    • 電子書籍を販売できるようにBOOTHでストアを開設した。また、電子書籍版でもきちんと読めることをアピールするためにPC、Kindleの準備をした。

参考までに、紙の書籍を売ったときのレイアウトと、電子書籍を売ったときのレイアウト画像をはっておきます。今比較してみるとパット見違いに気づきませんね。。。

PC、Kindleを用意しておきましたが、紙のサンプルを置いておいたせいか電子書籍版まで食いつく人がほとんどいませんでした。著者はKindle電子書籍を数十冊買ったことがあり、PC、Kindle Paperwhiteで非常に読みづらい書籍に何度か出会ったことがあるのですが、私のように電子書籍の見映えまで気にする人はいないことが分かったので次回は荷物を減らして臨みます。

当日のレイアウトで役立ったもの

持参してよかったと感じたものを以下に列挙します。

  • テーブルクロス
    • 本を傷つけないようにするため。
    • 使い勝手の良いあの布がオススメ。
  • ポスター、ポスタースタンド
    • サークル宣伝用に持参。通りすがりの人にも興味を持ってもらうのは大事。
    • ポスタースタンドを持ってなかったのでAmazonでポチりました。
  • マスキングテープ
    • ポスターを固定するなど予想以上に使う機会がありました。
  • はさみ
  • 付箋紙
    • 見本誌だと分かるように本に張りました。
  • ボールペン
    • 売り上げ管理のメモを書く時に使いました。
  • 見本誌カバー
    • 見本が傷つかないようにカバーで覆っておきました。
  • ゴミ袋
    • 各自ゴミを家に持ち帰らなければならないので必須アイテムです

あの布は評判通り確かに便利で、はさみやテープといった小物類を入れるには丁度いいアイテムでした。ちょっと値段が張りますが、今後も参加する予定があるなら買って損はないです。

当日のオペレーションについて

友人に売り子として手伝ってもらったおかげで、途中で気になるサークルの書籍購入に行けました。トイレや昼食にも行きたい時に行けて大分助かりました。友人に感謝。

見本は一冊あれば良いと思っていたのですが、想像以上に立ち読みする人がいたため、見本を三冊まで増やしたところ待ち行列が捌けました。見本に出した本は妻、および私が買い取りましたが、他のサークルは見本の扱いをどうしたのか気になるところ。

技術書典の運営について

素晴らしい運営のおかげでこのような経験をできたのは言うまでもありません。感謝の念とともに、良いと感じた点、改善していただきたい点を以下に記載します。

良いと感じた点

  • 執筆初心者の人をフォローするイベントを数回開催してくれたこと。
    • どのような手順で執筆すると良いか、実体験を聞けたのはありがたかったです。
    • 実際にできあがった薄い本をイベントで展示してくれたおかげで、数ページの本でも良いことを知り、心理的なハードルが大分下がりました。初参加でどの程度のボリュームの本を書けばいいか分からなかったため、参考になりました。
    • 「技術書をかこう! ~はじめてのRe:VIEW~」を知ることができたのもこのイベントのおかげです。
  • かんたん後払い決済のおかげで当日の決済が多少楽になったこと。
    • 利用率が高くなかったため、劇的に楽になった訳ではありませんが便利でした。次回も利用したいと感じました。
  • 技術書典に関することをツイートすると運営の方から執筆に関するアドバイスをしてもらえたこと。
  • 当日約6000名の人が来たにも関わらず、混乱もなく、会場内の秩序が保たれていたこと。

改善していただきたい点

  • かんたん後払い決済を利用する際、マイページの頒布情報の金額が未設定になっている時は警告を出した方が良いかと思います。
    • かんたん後払い決済の金額とマイページの頒布情報の金額が連動していることに気づきませんでした。
    • 紙の書籍一冊を間違えて0円で売ってしまいました。
    • かんたん後払い決済で0円で売る人はそうそういないと思うので、未設定のサークル管理者に対して警告する仕組みを導入したほうが良いと思います。

感想、謝辞

月並みな感想ではありますが、技術書典に参加して良かったと感じました。44ページという薄い本ではありますが一人で書き上げられたことの達成感はひとしおでした。本書籍の「実践例題」の章を充実できなかったことや、対象読者の絞り込みをきちんとできていなかった影響で「役に立つ豆知識」の章の説明が不足していたことなど課題はいくらでも挙げられるのですが、次回出展する際は可能な限りアップデートしていきます。本書内にも記載があったとおり、「情報収集の方法は時と共に移り変わっていく」ため、本書もどんどん更新していきたいと考えています。なお、Web寄稿、商業出版に関して今もなお興味はあるので、もしよろしければお声がけしていただけると嬉しい限りです。

また、当日、様々な方から以下の声をいただきました。

  • 紙の書籍が売り切れてしまったため、次回の技術書典でも是非紙の書籍を売って欲しい。
  • テーマが面白い。今までなかった。
  • 本のカバーのデザインが良い。手に取りたくなる。
  • もっと泥臭い体験談を盛り込んで欲しい。

上記のフィードバックをその場でもらえるのは即売会ならではの光景です。貴重なご意見ありがとうございます。次回に活かします。

最後に、技術書典の運営の方々、本書籍を購入していただいた方々、pyspa方面の方々、売り子として手伝ってくれた友人、そして子育てをしながら私の支援をしてくれた妻がいなければこのような本を執筆できませんでした。その人達への感謝とともに、筆を擱きたいと思います。

次回の技術書典も是非参加したいですね。